少し涼しくなってきて、外を走る人々が増えてきたような気がする。
そんな走る人々を見るたびに、骨盤の前傾ができているかどうかを見てしまうようになった。それはつまり自分ができているかどうか不安であることの裏返しでもある。シュッとしたランニングフォームを手に入れて、いろんな大会を駆け抜けたい。
ランスマやランニング本では聞き飽きるほどに骨盤の前傾についてはよく言及される。姿勢良く、無駄に力を消費しないようにスムーズに足を運ぶには骨盤の前傾が大事だ。自分でも常にそれを意識しているものの、特に疲れてきたりするとあごが上がり、のけぞるように後傾になっているのが分かったりする。まだまだだ。
部分部分ができても全体のバランスも重要になってくると思うので、ランニングフォームはじっくり時間をかけて修正していく、もしくは変わっていくものなのだろう。
そんなことを考えながら落語会の会場に向かっていた。
三遊亭兼好師匠の落語会。
なんと無料。
ちょっと前に知り合いの方と飲みの席で話した時に、落語好きなんですみたいな話になって。そしたら自治体で主催する落語会のチケットあるからもし良かったら送るよといわれ、狂喜乱舞。とにかく地方では落語会自体が開催されない(しかも今回のようにほぼ告知、広告が限定的で目に触れることがほぼない)のでこんな機会はめったにないのだ。しかも兼好師匠といえば、今後落語会を背負ってたつ落語家の一人になるであろう方なので見に行かない手はない。
会場到着。旧佐久間邸。文化財として開放している古民家。
風情ある家。入り口には市の職員だろうかお堅い雰囲気も。
中に入るとチケットをいただいた方がいらしたのでご挨拶して席へ。
まあ、おじいちゃんおばあちゃんばかりだよね。お母さんに連れられてきた小学生高学年、中学生のような子もいた。そして数人若い女性もいた。東京出張ついでの落語会に行く時も若い男性より若い女性のほうが圧倒的に多い。イケメン二つ目落語家ブーム的な雰囲気も今多少あるので若い女性が多かったりするのだろう。
会場には座布団が敷いてあり、足が曲げられない人には座椅子が用意されていた。座布団に座るとあぐらをかくのだが、基本猫背なので、どうも骨盤が後傾しているような気になってしまう。これではいかんと腹筋に少し力を入れて背筋を伸ばし、おへそを前に出すように前傾前傾と頭の中でつぶやきながら開演時間を待った。
時間となり主催者挨拶からの師匠登場。
1席目。台風、北朝鮮のミサイルに関するまくらからの権助魚。
権助魚はYouTubeで春風亭昇太師匠のわちゃわちゃしたものしか聞いたことがなかったのだが、兼好師匠のはまるで違った。とても聞きやすい。登場人物の権助、おかみさん、旦那の演じ分けがお見事。立川談志が女性を上手く演じれるのは良い落語家といっていたような気がするがまさしくそうだと思った。兼好師匠のおかみさんは艶っぽい。昇太師匠のはなんかヒステリックなおばさんといった感じ。権助も兼好師匠のは馬鹿過ぎず愛嬌がある。ちょこちょことくすぐり続けて盛り上がったままオチヘ。これぞ落語だなぁと感心してしまった。
2席目。まくら短く、壺算へ。
壺算は良く耳にする噺。生では芸協二つ目桂宮治のパワフルな壺算を聞いたことがある。壺算ではだまされる店員さんの様子が見所の一つかと思うが、兼好師匠の演じ方はとてもよく考え、演じられているように思った。はじめはちょっとうさんくさい通販番組みたいな作られた満面の笑顔で接客しているのだが、だまされていくにつれパニックになり人間味ある表情に変わっていく。そんなだまされ方現実ではありえないでしょと思いながらも、とても人間的な暖かい雰囲気すらかもし出す落語情景に顔がほころんでしまう。
素直に面白かった。
1時間で2席。無料ですからこんなものでしょう。もっと聞きたかった。
落語が始まってからは骨盤の傾きなど一切気にせず落語を堪能。
1時間あぐらをかくというのも最近ないことだったので、体をほぐすのにも、家に帰ってコードブルーを娘たちと見てからジョグをした。
骨盤の前傾を意識しながら。