ウルトラマラソンに初めて触れた②【第26回チャレンジ磐梯吾妻スカイライン】17kmすぎ~浄土平エイド(約30km)

一歩一歩前に

福島で生まれ育った、世界に誇る女性登山家田部井淳子さんは生前、こんな話をされていた。

「一歩一歩前へ、足を前に運びさえすればどんな山でも頂上に登れる。」

今年3月、ちょっとしたお役目で、小学校の卒業生にお話をする時に引用させていただいた言葉。今、自分がそれをやる時なんだなとか思った。

 足の痛みはだんだん大きくなってきている。足を着くと足裏の外側が痛むので、痛まないように、足の着き方を変えたりして歩く。内股でオカマさんのようにすると歩けた。まあ、はたから見たら奇妙な歩き方だったろう。痛みが本格的になってきてからあと何kmある?と考えるばかりで、到底ゴールはできないなと半ばあきらめていた。ただ、前述の田部井さんの言葉を思い出しては、とにかくまだ時間はあるし、なんとか上りが終わる浄土平までは前に進んでみようかと思ってはいた。周りの参加者は皆、傾斜が緩くなると走り、きつくなると歩きをくりかえしていたようだった。

今現在18km付近。あと10km強、、、。

10kmかよ、、、。心折れそう。

 

絶景ポイントであるポイントに気付く

スタートから約22km付近。このコースの中でも上位に入る絶景ポイントへ間もなく着こうとしていた。18km過ぎてからここまでもちろん歩きで45分ぐらいかかった。たった4kmを。目の前には、70歳を超えてそうなおじいちゃんランナーがいる。だいぶ疲れているんだろうか、足元はおぼつかない。抜き際、お疲れ様ですと声をかけるが反応はなかった。

そして絶景ポイントの不動沢橋へ。ちょっと前から尿意も催していたので、レストハウスへ向かう。あー、漏れそうだわーと早くトイレに行きたいのだが、そのトイレ、ちょっと階段を上って建物をぐるっと回らないとトイレにたどり着けない。ああ、ここにきて階段なんて。

階段を満身創痍で上る。

そこには絶景。

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これを見ていよいよだなと思ってしまった。

眼下に広がる市街地と雲、雲の合間から指す光。この橋、走って渡りたかった。

「最高の景色のところまできましたが、キリのいいところでリタイアする。足裏が痛い!」

IGでつぶやいた。情けないが。

これ以上悪化したら、はが路での悪夢の二の舞になる。

このあと日光ウルトラもあるし、無理は良くないなと。

 

無念。

 

トイレを済ませ、行きで上った階段を降りる。尿を出し切って心軽く、タッタッタッと降りる。

 

ん?!タッタッタッ?!

 

ここであることに気付く。それはこのウルトラでゴールできるかできないか左右する大きなポイントだった。

 

それは「つま先で着地すると痛くない」ということ。

 

初めて大きい太字を使った。

そういえば、階段上る時も枕木につま先だけひっかけるようにしてのぼったら痛くなかった。あらら、これはひょっとしたら。。。階段を降りきり、不動沢橋を渡る。痛みが強い左足はつま先で着地。痛みが弱い右足はそれなりに。これをやってみると意外と歩ける!

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何かうまく説明できるような無料素材写真が落ちてないか探したらこんなのがあった。綺麗な足だ。写真では左右足が逆になるようなイメージだが、左足を写真のようにつま先だけ着くと痛くない。なんなら左右つま先で着地すれば少し走れる!

先の不動沢橋の写真でお分かり頂けるかもしれないが、この橋の下、かなりの高さがある。今思い出しても足がすくむぐらい。私、高所恐怖症なのでちょっと怖くて小走りして通過した。おいおいおい、ちょっと走れるよ。

 

でもね、あと何kmある?

44kmぐらい。

いまちょっと小走り出来たけど、それだけでマイコブラが少し突っ張ったよ。

DAYONE。

行けないよね、ゴールまでつま先走りでは。

 

しかし、ちょっと歩けるコツを見つけ、橋を渡りきったところでエイドに到着した。

 

山をなめるな第一弾

 エイドに到着するとトイレに行っている間に先に進んでいたおじいちゃんランナーが静かにゼッケンを外していた。ああ、リタイアするんだな。それでもここまで2,3時間歩いてきただけでもすごいなと思った。歩けるコツを見つけた私はエイドで少し足をほぐし、補給する。

私「ここから浄土平までは何kmですか?」

だいたい知ってたけど聞いた。

ボラ「7kmぐらいかな。」

だいたい知ってた。

さて、つま先歩きで行きますか。もうこの時点で、関門の時間制限を超えて収容される(この大会だと送迎してショートカットさせてくれる)までなんとか頑張ってみようと思うようになっていた。とにかく山の上、浄土平まで行こう。

ゆっくりと、それでも確実に前へ進むと、確かに目指す浄土平、吾妻小富士は近くなってきていた。

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左足はつま先、右足は普通に着地。そんな歩きをひたすらに。前には同じようなペースで歩くランナーがいた。独り言で「もうすぐ、もうすぐだ」とつぶやいている。みんなそれぞれ頑張っているんだな。前のランナーが少しペースが遅くなり、抜き際、お互いに「お疲れ様です。」と声を掛け合う。これもウルトラの良いところだと思った。

私「足が痛くて、、、。」

ランナー「あー、だいぶ痛そうだね。」

片足はつま先で着地してるから、かなりバランス悪く歩いているようだ。自分でも分かる。でもこうしないと歩けないからしょうがない。

エイドから数キロ歩くといよいよ森林限界点(標高1600m)に近づいてきたのが分かる風景に。

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先も見通せるようになってくるとこれまた辛いね。ここまできたら意地だ。絶対浄土平まで行く。

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グレートレースっぽくなってきたよ。風景が。ああ、遅くてもいいから走りたかったなあ。でもこのままなら何とか浄土平までは行けそうだ。

 

が、しかし。

山は甘くない。第一弾。

森林限界が近づいてきたころ、徐々に風が強まってきた。曇りがちになり気温もだいぶ下がってきたようだった。途中脱いでいたアームカバーをまた取り出し装着する。つづら折りに登るその先を見据えて前に進む。ちょっと雨も落ちてきた。

あと2kmちょっとかなというところ。

突風。

小雨がちらつく。

だんだん風が強くなってきた。

向かい風の時はぐっと肩を抑えられているようですすまない。

なんてこった。せっかく歩ける方法が見つかったのに今度は山の洗礼。

つづら折りなので、歩く方向が変わると今度は「早く行けよ」と背中を押される。

それをちょっと利用して追い風の時つま先小走りしてやる。

今度はかなり強い向かい風、涙目。

くそ。

 

もう、なんか面白くなってきた。

 

浄土平だ!!!

てっぺんが見えてきた。もう半笑いだった。きつすぎて。

足に痛みが出て、歩きはじめて約15km。

風にも負けず雨にも負けず。ついに来た。浄土平エイド。

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目の前には吾妻小富士。

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前に来たのが4年前ぐらいで、記念碑変わったなあ。

良かった。とりあえずここまでこれた。

 

ここで、少し前から気になっていたガーミンの電池残量を見ると残り20%。なんだよ、ウルトラで14時間持つっていうから買ったのに全然じゃないかと思ったが、はてブロランナーのどなたかの記事で、ロシアの衛星GPSを切り替えないとという記事を思い出した。そういや、私の735は海外版で、説明書は英語、スペイン語、とか数か国語もの無駄な紙があっただけで読んでいなかったから、特に購入当初からGPS設定変えてなかった。ここから休んで下りもいけるところまでと思っていたから、中途半端で終わるのも嫌なので区切りのいいここまでで一旦セーブ。サマリーは以下の感じ。

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高度上昇1621m。登ったねえ。

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27,8kmでペース上がっているのは、突風追い風変わるところで小走りがあった区間。それにしてもよく歩いたわ。

 

さて、ここからは下り区間だ!

お腹もすいたし、腹ごしらえしてまた行くぞ!

 

そして、このエイドで奇跡的な体の変化を感じた、、、。

 

続く