【第1回日光100kmウルトラマラソン挑戦⑦】「走るのに夢中。ゴール。」

ギリギリの第四関門通過。

 

次の関門は90kmすぐ手前。15kmを2時間。キロ8以内で行かなければならない。疲労が十分にたまってきているから、何が起こるか分からない。関門通過にほっとしたが、ゆっくりもしていられないので、早々にエイドを出る。第四関門通過するのに必死のキロ6をして体が少しほぐれたのだろうか。わずかだが体が軽くなった。早めに貯金を少しでも作りたい。エイドを出るとすぐ、東武ワールドスクエアにコースが向いてく。

正直、ここは?だった。むりやりコースに組み込んだ感。関門エイド出て、ものの1,2kmでまたエイド。ワールドスクエア入り口から駐車場、園内に少し入るところまで、狭いところをうねうねと走らされる。なかなか園内に入らない。さきほどの江戸村もそうだったが、入るまでが長くて、園内に入ったと思ったらほんの一部。ピラミッド脇を走るが、素通り。見てる場合じゃない。もう少し余裕があれば楽しめただろうに。写真とか撮ったりして。園内にオールスポーツがいて写真にとられていたが、ガッツポーズはしているものの、ただただ疲労困憊した姿が写っていた。

ここからはペースの波は大きいものの、走ることに集中はできていた。とにかく第五関門まで行ければ完走が見えてくる。80kmを過ぎるともうすぐだという意識に切り替わり、進みが早く感じた。「まだ20kmもあるのか、、、」と「あと20kmしかない」の意識の違いがメンタルに与える影響が大きく異なることをさらに実感した。後ろ向きの思考はとことん体を動かなくさせる。距離が長くなればなるほどに。

 走るのに夢中だった。ドラマチックなことは何もない。ただ前に進むだけ。終盤信号待ちが多かったが、先を見て、赤になりそうだったら走りをやめ歩いて調整した。ちょっとの上りでもきつかったが歩かなかった。少し日差しが出てきたが、ほんの少しだけ。エイドごとに最低3回水かぶり。大活躍のマジックールも少し疲れてきたみたい。清涼感が減ってきていた。

 

第五関門、5分前到着。

 

それほど貯金できなかったが、この到着は大きい。完走がぐっと近くなった。ここを通過できれば、ゴールまでは10kmちょっとを1時間半で走ればいい。前の関門より多少ゆるくはなる。もうすぐだ。思考も前を向いている。しかし、ここでもトイレ問題。このエイドでもトイレ2基で6人ほど並んでいる。若干尿意があるのでここで済ませておきたい。早く出たかったがこれも少しは休憩になるかと我慢。

 んー、トイレの列が前に進まない。1人の時間が長い。気分的にイライラしてしまう。特にあと2人となったところでの1人がやたら長い。その長い人の友人だったのだろう(待っている時話をしていたから)、その人も友人が長いことがちょっと気になったのか、「長いですね、、、。私はすぐ終わりますから、、、。」と申し訳なそう。二人顔を合わせて苦笑い。案の定、その方が友人より早く出てきた。「すいません、、、。隣まだですね。どうぞどうぞ。」気を使っていただいて申し訳ない。結局、これが最後にはならず、もう一回トイレ。数えはしなかったが、おそらく10回程。平均待ち時間3分ほどで30分はトイレタイムだった。ウルトラトイレだ。

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さあ、ゴールまでラスト10km。体もまだ動く、完走が見えてきた。

さてここで、もう一度この大会のコース高低表を見ていただこう。

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なんといっても前半30kmの上りが目をひき、あとは下ればその先ほぼ平坦の印象を誰もが持つだろう。私もその一人。だが、よく見てもらいたい。90km以降。ゴールに向けて上がっている。しかも、高度の目盛りは1メモリ100m。なので、そこそこ上っているのだ。これ、マラソン大会コース高低図のマジックで、前半が極端なだけに、後半は楽そうだと勘違いしてしまうのだ。あの鬼階段もそう。この高低図では分からない。

 

実際、ほぼ上りで気が滅入りそうになる。

しんどかったけど、もうあと10kmで終わってしまうと考えると体は思っている以上に動いた。残っている力でラストスパートだと思って走った。

ペースはキロ7。遅いのに上りとも相まって息が上がる。

「ハーッ、ハーッ」自然と息遣いが荒くなる。

ただ、「ハーッ、ハーッ」と息を強く吐くと体が動くように感じる。

いろんな大会でよく見るが、とくに年配のランナーの方で、すごく息遣いの荒い方、声を出して走る方がいる。結構それをされると気になって、うるさいなあと集中できなくなってしまうことがある。それをやってしまっていた。自然とそうなった。時々ひとりごちて気合を入れたりした。やっぱりそうすると力が出るような気がした。そうやって走る気持ちもようやく分かった。次からはそんなランナーに寛容になれるはず。

 

前方、先に傾斜がきつそうな坂が見える。

またかと思えど気力は十分。

ハーハー息は荒いが、腕も振れて、上れる。

その坂で、第五関門のトイレ待ちで、友人の長トイレを気にしていた方を追い越す。その後のトイレでまた抜かされていたようだ。

息の荒いおじさんが来たもんだから後ろを振り向いたのだろう。お互い気付いた。

トイレ男性「おー、ナイスランです!」

ほぼ周りは歩いていた。

私「最後がんばりましょう!」

私は下を向いたまま上り続けた。

 

残り5キロを過ぎたところで、完走できると確信した。まだ体が動く。

そして何よりも走ることに夢中だ。

とても遅いペースだけれども、とても充実して走っている。

ラスト2kmぐらいで調子に乗って、できるかどうか試しにグッとペースを上げてみた。5分前半ぐらいまで上がったが100mしか持たなかった。そりゃそうだ。

 

ラスト1km。

ここが一番グッときた。

走れたんだなとさらに実感した。

ゴール前で待つ娘たちを想像した。

周りのランナーの雰囲気も明るくなってきた。

信号待ちになると、「もうすぐ」「やったなあ」と言う声も聞こえてきた。

 

 ゴールの今市運動公園の入り口を曲がる。

沿道からはすでにゴールしたランナーなどが応援してくれる。

ハイタッチをする。

帰ってきた。

ゴールの球場入口まで100m切ったところで長女と二女発見!

なんかおもちゃの刀を持っている。江戸村で買ったな。

長女と二女をコースに入れる。

私「一緒にゴールしよ!」

長女・二女「いいの?!」

長女は恥ずかしげに手をつなぐ。二女は片手に刀。

一応、スタッフの方に聞く。

私「一緒にゴールしてもいいですか?」

ス「どうぞどうぞ!もちろん!」

夢が叶った。

球場入り口で妻に抱っこされていた三女もおりて手をつなぐ。

みんな揃った。

球場に入るとゴールゲートが見えた。

ちょっと名前が呼ばれたかどうかは覚えていない。

やれた。

良かった。

娘たちも笑っている。

 

が、ゴール前でテープを切るための渋滞。

渋滞に並ぶ。

私「パパやったよ」

長女「うん」

 

ゴールテープを切る順番がきた。

「せーの」

「やったー!」

長女は恥ずかしげに、二女は思いっきり、三女は不思議そうに手をあげた。

 

100km無事、制限時間内、完走。

終わった。

充実!

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不安だらけの100kmウルトラだったが、やっぱり走って良かった。

走ってみる価値はある。

100km走って何が変わったかと言われると、あまり何も変わってないかもしれない。タイムも速いわけではないし、余裕だってなかった。しかし、100km走った事実がそこにある。私は走ることができた。それだけでも十分だ。100km走れたのです。何も変わらないことが分かるのも走らなければわからない。

少なくとも私にとってこの100kmはとても意義あるものだった。

 

第1回日光100kmウルトラマラソンのサマリー。

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天気は当初真夏日の予報がはずれ、走りやすい状況となりとても良かった。ほぼ曇りで、風が強いと感じたのも中禅寺湖あたりだけ。天気は本当に良かった。

ゴールの瞬間の写真、妻はワタワタしててうまく撮れなかった。オールスポーツの写真を見たら、ちょうど三女の顔にゴールテープがかかり、週刊誌のスクープ写真みたいになってしまっていた。ゴールテープ切る前の三人並んだ写真、これは初オールスポーツ写真購入としよう。

 

最後に、家族へ。

 エントリー費が高いとか、走ってる間どうするのとか、前日旅館が臭いとか、食堂がこわいとか、いろいろあったけれども、

 100km走らせてくれてありがとう。

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